覚えておきたい麻酔の基本

海外では麻酔看護師は一般的で、アメリカでは150年以上の歴史がありますし、台湾は麻酔看護師の人数が世界で一番多い国です。日本でも海外の例を取り入れ、2010年に聖路加国際看護大学の大学院で周麻酔期看護師の養成を始めました。そのため、看護師にとって今後注目の資格といえるでしょう。

周麻酔期看護師は麻酔に関するさまざまな知識と手技を身につけます。周麻酔期、つまり麻酔の前と麻酔中、麻酔後は麻酔科医や周麻酔期看護師にとっては緊張する場面です。正しい知識を身につけることで、患者の観察はもちろん、自分自身のアセスメントに自信がつきます。

麻酔の目的は、おもに4つあります。1つめは「意識の消失」です。2つめは「無意識に起こる反射の抑制」です。3つめは「筋緊張の消失」、そして一番重要なのは「苦痛の除去」です。痛みを感じると血圧、呼吸、心拍数の変動、術中の体動を引き起こします。ですから、安全に手術を行うためには麻酔が必要です。

全身麻酔の方法は、吸入麻酔と静脈麻酔の2種類です。全身麻酔には、気道が確保でき、舌が沈下して閉塞するのを防ぐ効果があります。また、中枢神経に作用するので苦痛がなくなり、長時間の手術が可能になります。局所麻酔の特徴は、意識を保った状態で、痛みだけ除去できることです。全身への影響、呼吸抑制が少ないことも特徴です。全身麻酔は嘔吐や悪心など副作用も伴いますが、局所麻酔はこのような副作用を最小限に抑えられるというメリットがあります。